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GTFS を「ルール無用」の CC0 / CC BY 4.0 で公開する愚かさと危険性
GTFS(General Transit Feed Specification)は公共交通のダイヤそのものです。乗り換え検索やバス接近表示などリアルタイム案内に使うには、以下の 3 点が必須条件になります。
- ほぼゼロに近い誤り率
- ダイヤ改正ごとに確実かつ即時の更新
- 改変履歴(バージョン管理)の追跡可能性
しかし、CC0 や CC BY 4.0 にはこれらを保証・強制する条項が一切ありません。その結果、次のような深刻なリスクが生じます。
1.CC0 / CC BY 4.0 は「無保証・無更新」の宣言
- ライセンス本文に「AS IS(現状有姿)」での提供と無保証が明記。
- 再配布・改変時の報告義務やバージョン管理義務がない。
- 誤情報を流布しても責任追及が困難。
2.技術的エラーは想像以上に多い
- 海外調査で約 21%の GTFS フィードに形式・整合性エラーが確認。
- ID の重複・外部キー欠損・距離計算ミスなど、「読み込めるが案内がずれる」不備が多数。
3.「ゴーストバス」や乗り逃しの実例
- 到着予定が表示されたのに実際には来ない“Ghost Bus”問題で空港利用者が 1 時間待機。
- 実地実験ではアプリ利用者が4 回中 3 回バスを逃すケースも報告。
4.利用者安全リスク ― 高齢者転倒・深夜の置き去り
- 誤案内で走行中の車内転倒事故(頭部外傷など)。
- 終バス乗り逃し → 深夜に停留所で置き去り → タクシー代・宿泊費負担。
5.事業者のブランド・法的・経営リスク
- クレーム急増 → コールセンター・タクシー代など直接コスト発生。
- 信頼失墜 → 乗客離れ・自治体補助の減額。
- 誤案内アプリ経由で損害賠償請求、訴訟リスク。
- ベルリン地下鉄(BVG)の無許可時刻表アプリ削除要請のように、後手対応は炎上要因に。
6.データが“野良フォーク”化し、修正が行き届かない
- 更新義務がないため旧バージョンが半永久的に拡散。
- 改正後も古いフィードを参照するアプリが混在し、利用者が混乱。
- 改変元・改変内容の追跡が困難で、是正の手が届かない。
7.代替策:安全なオープンデータ運用モデル
目的 | 具体的手段 |
常に最新を使わせる |
API キー+バージョン番号必須、ライセンスに「改正日から○日以内に更新」義務を明示 |
改変を許可しても追跡可能に |
ODbL などShare Alike型ライセンス、フォーク時はリポジトリ公開を義務化 |
品質確保 |
GTFS Validator で自動テストし、合格版のみ配布 |
誤用・誤表示の抑止 |
商用アプリには二次利用契約で賠償責任条項を設定し、違反時は API 停止 |
まとめ
GTFS は公共インフラの生命線です。無保証・無追跡の CC0 / CC BY 4.0 での公開は、
① 誤案内 → 利用者被害、② 品質確保コストの事業者負担、③ 法的トラブルの発生
という三重苦を招きます。
「更新義務・品質基準・責任分担」をライセンスに組み込み、配布経路を一本化することが、安全で持続可能なデータ活用への最低条件です。